採択実績が多く、様々な事業者に利用されているIT導入補助金。個人事業主等の小規模事業者も対象となっています。
申請手続きも他の補助金と比べると、専門家に頼らずとも個人での申請手続きしやすいのも特徴です。
- 個人事業主の採択も多い
- パソコンの購入のみではIT導入補助金を利用できない
- IT導入補助金は返済義務がない
今回は、個人事業主の方向けにIT導入補助金の申請方法や条件等について解説します。
また、IT導入補助金の申請を専門家に依頼するメリットも併せてご紹介します。最後までご覧ください。
IT導入補助金は個人事業主も申請できる
IT導入補助金は個人事業主も申請できます。
実際に、個人事業主の採択数も多いのが特徴です。事業の拡大や業務改善をしたい方は、積極的にIT導入補助金の活用を検討しましょう。
IT導入補助金の申請枠は5つに分かれています。導入するITツールによって申請枠が変わるためチェックしておきましょう。
申請枠 | 概要 |
---|---|
通常枠 | 事業の課題を解決できるITツールの導入 |
インボイス枠(インボイス対応類型型) | インボイスに対応した会計ソフト等の導入 |
インボイス枠(電子取引類型) | インボイスに対応した受発注システム等の導入 |
セキュリティ対策推進枠 | サイバー攻撃に対処するためのツールの導入 |
複数社連携IT導入枠 | 複数の事業者が連携し導入することで地域DXを実現するためのツール導入 |
IT導入補助金は、通常枠の採択率が70%を超えることもあります。
インボイス枠については平均採択率が90%を超えています。適切に申請することで、採択される可能性は比較的高いと考えてよいでしょう。
まずは、IT導入補助金の概要について知っておきましょう。
補助金対象者の条件と補助金の詳細について見ていきます。
補助対象者の条件
IT導入補助金の補助対象者は、中小企業と小規模事業者です。個人事業主は、小規模事業者に分類されています。
下記の条件を満たす小規模事業者がIT導入補助金の対象とされています。
業種・組織形態 | 従業員(常時使用する従業員) |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
なお、日本国内で事業を営むことも条件であり、外国で事業を行っている方は対象外となります。
また、個人事業主として開業届を出すことも前提条件となります。開業したばかりの事業者であっても申請は可能です。
しかし、事業の継続性や将来性が審査に影響するため、採択において不利になる可能性もあります。採択される可能性があるかどうか不安な方は専門家に相談してみましょう。
補助率と補助額
IT導入補助金の補助率と補助額は、申請枠やITツールによって変わります。最新の補助率と補助額は下記のとおりです。
申請枠 | 目的 | 補助率 | 補助額 |
---|---|---|---|
通常枠 | 事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援 | 1/2以内 | 1プロセス以上:5万円以上150万円未満 4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト の導入 | 4/5以内 | 50万円以下 |
PC・ハードウェア等の導入 | 1/2以内 | 10~20万円以下 | |
インボイス枠(電子取引類型) | インボイス制度に対応した受発注システムが対象 | 2/3以内 | (下限なし)~350万円以下 |
セキュリティ対策推進枠 | サイバー攻撃事案の増加により高まる様々な潜在リスクの低減を支援するツールの導入 | 1/2以内 | 5万円以上100万円以下 |
複数社連携IT導入枠は、基盤導入経費や消費動向等分析経費等によって補助率・補助額が変わります。対象経費の判断が煩雑な点が特徴です。
導入予定ツールの補助額が気になる方は、専門家に確認しましょう。
パソコンやホームページ制作のみの発注は対象とならない
パソコンの購入や会社のホームページ制作にIT導入補助金を活用したいと考える人は多くいます。
パソコンの購入やホームページ制作はIT導入補助金の対象となりますが、条件があるため注意が必要です。
登録されたITツールの導入が条件となる
パソコン等のデジタルデバイスの購入だけではIT導入補助金の対象となりません。対象となるためには、会計や決済等の一定の機能を持つソフトウェアを導入しなければなりません。
IT導入補助金を活用するには、IT導入支援事業者として登録されたITツールがパソコンを取り扱っていないこともあります。
個人事業主がIT導入補助金を申請する流れ
IT導入補助金は、補助金の中でも比較的申請方法が簡単なため、個人であっても公式サイトにある手引きを元に申請できます。
IT導入補助金の申請から実際にツールを導入するまでの流れをご紹介します。
IT導入補助金申請8つのステップ
申請前に全体の流れを把握しておきましょう。
- 導入希望のITツールの検索
- IT導入補助金の公募要領確認
- 「gBizIDプライム」「SECURITY ACTION宣言」「みらデジ経営チェック」の対応
- 必要書類の用意
- 交付申請
- 審査及び決定通知
- ITツールの導入及び事業の実施
- 補助額の決定と入金
それぞれ詳しく見ていきます。
導入希望のITツールの検索
事業の課題を解決できるITツールを探しましょう。IT導入補助金の対象となるITツールは、事務局より採択を受けている必要があります。対象のツールは「ITツール・IT導入支援事業者検索」より検索できます。
「どんなITツールがあるのか分からない」
「事業にマッチしたITツールが見つからない」
このような方は、IT導入補助金の申請サポートを行う行政書士に相談しましょう。行政書士事務所サブシディでは、IT導入補助金の申請サポートを行っています。
IT導入補助金の公募要領確認
IT導入補助金の申請を専門家に丸投げすることはできず、あくまでも自身で申請をしなければなりません。
そのため、事業者自身でIT導入補助金の公募要領等を確認しましょう。IT導入補助金の申請サポート業者は、複雑な手続きを分かりやすく説明し、申請手続きの負担を軽減し、採択までサポートします。
「gBizIDプライム」「SECURITY ACTION宣言」「みらデジ経営チェック」の対応
申請時の要件として、「gBizIDプライム」「SECURITY ACTION宣言」「みらデジ経営チェック」の対応が必要となります。
上記の手続きで必要なアカウントの取得に2週間近くかかることもあるため、申請を急いでいる方は早めに対応しておきましょう。
必要書類の用意
個人事業主の方は、身分証明書・納税証明書・確定申告書の3種類の本人確認書類が求められます。各書類について、注意事項があるため不備のないように気を付けましょう。
本人確認書類 | 注意点 |
---|---|
身分証明書 | ・運転免許証・運転経歴証明書・住民票のいずれか ・住民票は発行日から3か月以内 |
納税証明書 | ・申請時における直近分 ・税務署の窓口で発行する(発行元が税務署) |
確定申告書 | ・税務署による収受日付印等が押され税務署が受領していることが分かること |
申請時には、IT導入補助金の交付申請手引きを確認しておきましょう。
交付申請
IT導入支援事業者(対象のITツールを提供している会社や販売代理店)と連携し交付申請を行います。
申請時に必要な「事業計画策定」を申請者とIT導入支援事業者で作成しておく必要があります。採択結果にも影響するため、重要なポイントです。
審査及び決定通知
審査は、事業内容や計画目標等を勘案して決定されます。中には加点項目と呼ばれる項目もあります。加点項目を多く満たすことで、採択されやすくなります。
審査が終わると、締め切り日から約1か月後に採択結果が発表されます。なお、採択前に該当のITツールを導入してしまうと対象外になるため注意しましょう。
ITツールの導入及び事業の実施
決定通知をメールで受け取った後に、IT導入支援事業者と連携し、該当のITツールを導入します。
事業実施・実績報告時に、領収書や払込受領書が必要となるため、破棄せずに全て保管しましょう。
補助額の決定と入金
ITツールを導入したことを報告し、事務局による確定審査が行われます。審査完了後に、あらかじめ登録した口座へ補助金が振り込まれます。なお、補助金の入金後に事務局への効果報告が求められます。
IT導入補助金の申請を専門家にサポートしてもらうメリット
IT導入補助金の申請を専門家が完全に代行することはできません。申請時における専門的なアドバイスやサポートができるにとどまります。
具体的には、補助金や申請方法の概要の説明や注意事項の説明があります。他にも、事業に合ったITツールの紹介や事業計画書へのアドバイス・提出書類の確認などがあります。
基本的に、申請手続きの負担軽減や採択率アップのために専門家に相談するのがよいでしょう。
IT導入補助金に関するよくある質問と回答
最後に、IT導入補助金に関するよくある質問をご紹介します。申請前にチェックしておきましょう。
- IT導入補助金は返済する必要がありますか?
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IT導入補助金は、原則として返済義務がありません。しかしITツールを導入後に、事前に策定した目標の未達成や辞退した場合は、補助金の一部若しくは全額の返還が必要になることがあります。
申請者の義務である「効果報告」を基に審査されるため、報告を怠らないように注意しましょう。
- IT導入補助金の対象となるツールはどんなものがありますか?
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IT導入補助金の対象となるツールは、ソフトウェアやクラウドサービスです。例えば、業務効率化のための顧客管理ツールや販売支援ツールなどが挙げられます。具体的には、salesforceやLステップなどがあります。