ビジネスローン借り換えで返済額はどれくらい減る?具体的なシミュレーション

事業融資には、低金利のものから高金利のものまでさまざまな種類があります。

実績が少ない場合や、初めて借り入れをする場合は、高い金利で借りざるを得ないこともあるでしょう。

借り換えを活用すれば、より低金利の融資へ乗り換えることができます。結果、返済総額を減らすことに繋がります。毎月の負担が軽くなり、キャッシュフローの安定にもつながるでしょう。

金利はわずか1%の違いでも、長期では支払総額に大きな差が出ます。

たとえば、金利14%で借りている場合に、10%の融資へ借り換えられれば、500万円を5年間借りたケースでは、総返済額が約100万円減る可能性があります。

借入額返済期間金利総返済額
500万円5年間14%850万円
500万円5年間10%750万円

特に現在は金利上昇局面にあります。日頃から金利動向をチェックし、不安を感じる前に先手を打つことがポイントです。

今回は、ビジネスローンのサポートも行っている行政書士事務所サブシディが、ビジネスローン借り換えのポイントについて分かりやすく解説します。

目次

ビジネスローンの借り換え先

ビジネスローンの借り換え先は、実は意外と多くあります。

  • 銀行プロパー融資
  • 信用金庫
  • 信用保証協会の保証付き融資
  • ネット銀行
  • ノンバンク系

一般的に、審査の難易度が高い金融機関ほど金利が低い傾向があります。できる限り、低金利の融資を狙うのが理想です。

ただし、実績や信用力が十分でない場合、審査に通らない可能性が高いです。

重要なのは、金利が下がる可能性があり、かつ審査に通る現実的なラインを見極めることです。

また、どの金融機関であっても審査手続きには一定の手間がかかります。書類準備や審査対応の負担を考えると、最初から通過可能性の高い先を選ぶことが効率的です。

なお、公的融資である日本政策金融公庫は、原則として既存のビジネスローンの借り換え目的では利用できません。

新規の資金調達としては活用できますが、すでに負債がある場合は審査が厳しくなる傾向がありますので注意が必要です。

銀行プロパー融資

銀行のプロパー融資は、最初に検討するといいでしょう。銀行融資は金利が低く、条件面でも有利な場合が多いです。

ただし、審査は厳しく、法人口座の開設自体も難しいケースがあります。決算内容や事業実績が重視されるため、一定の信用力が必要です。

一方で、現在は金利上昇局面にあり、銀行側も利ざやを確保しやすいことから、融資に前向きな姿勢をとっています。数年前よりは利用しやすくなっています。

メガバンクや地方銀行で継続的に取引を行い、入出金の実績を積み重ねていれば、融資の提案を受けられる可能性もあります。

たとえば、三菱UFJ銀行で法人口座を開設し、一定の取引実績がある場合、年0.8%台のビジネスローンを利用できます。

将来的な借入も視野に入れているのであれば、早めに法人口座を開設し、日頃から取引実績を作っておくといいでしょう。

信用金庫

信用金庫は、地域に根差した金融機関です。営業エリア(商圏)が決まっており、特定の地域の事業者を中心に融資や経営サポートをしています。

銀行と比べて地域密着型であるため、事業内容や経営者の人柄、これまでの実績などを総合的に判断してくれます。

ネット銀行をメインに利用している方は、この機会に信用金庫の活用を検討するのもいいでしょう。

地元で長く事業を続けていくのであれば、地域の金融機関と関係を築いておくと様々なメリットがあります。条件次第では、金利の低い融資商品を利用できます。

将来的な資金調達も見据えて、早めに取引実績を作っておくとよいでしょう。

信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証付き融資は、いわゆる「制度融資」と呼ばれるものです。

実績が十分でない場合でも、信用保証協会に保証料を支払うことで保証を受けられ、金融機関から融資を受けられます。

銀行のプロパー融資が難しい事業者に対して、代替案として提案されます。

ただし、プロパー融資と異なり、保証料の負担が発生します。

そのため、借り換えを検討する際は、金利だけでなく保証料も含めた総コストを考慮しましょう。返済総額が本当に減るのかを見極めましょう。

ネット銀行

ネット銀行を利用する事業者も多いでしょう。多くのネット銀行では、ビジネスローンサービスも提供されています。

取引データをもとに「借入可能額」の案内が自動で表示されるサービスがあります。すでにネット銀行を利用している方は、一度確認してみるとよいでしょう。

代表的なネット銀行としては「住信SBIネット銀行」「GMOあおぞらネット銀行」などが挙げられます。

ただ、ネット銀行は必ずしも金利が大幅に低いとは限らないため、借り換え目的で利用しにくいこともあります。

条件を比較し、本当に総返済額が下がるかどうかを確認したうえで判断しましょう。

ノンバンク系

ノンバンク系とは、日本政策金融公庫以外の民間金融会社が提供する融資サービスのことです。

一般的に「金利が高い」というイメージがありますが、中には比較的低金利で利用できる良質なサービスもあります。

審査が柔軟で、銀行よりも利用しやすいことがあります。金利を抑えられるのであれば、積極的に検討するといいでしょう。

ポイントとして、オンライン完結型のサービスは利便性が高い反面、金利が高めに設定されています。

一方で、対面型の融資サービスは、事業内容を直接説明できるため、より柔軟な審査が期待できます。

たとえば、MRFでは担当者が訪問し、事業内容をヒアリングしたうえで融資可否を判断します。

借り換え希望であることや現在の資金状況を丁寧に共有することで、借り換えのメリットがあるように配慮してくれる可能性もあります。

借り換えをすべきかどうかの判断方法

どのようなタイミングで借り換えを検討すべきなのでしょうか。

借り換えは、事業が好調なときだけでなく、事業が停滞して返済が厳しくなってきたときにもメリットがあります。

状況別に「どんな場合に借り換えを判断すべきか」を分かりやすく整理していきます。

事業が好調で、売上が増えてきた

事業が好調なときこそ、借り換えを検討する良いタイミングです。

売上が増え、資金繰りに余裕があると「今のままで問題ない」と考えがちです。しかし、業績が良いときの方が、金融機関からの評価も高くなります。結果、より良い条件で借り入れできる可能性が高まります。

借入当初は実績が少なく、金利が高かったり、審査が厳しかったりしたケースでも、事業が軌道に乗れば、銀行のプロパー融資や信用金庫との取引ができる可能もあります。

調子の良い時期に、少し手間をかけて借り換えや条件の見直しを行うことで、将来的な資金調達の幅が広がります。

また、返済実績を積み重ねることで信用力の向上にもつながります。

同じような状況を経験してきた経営者の先輩に相談してみるのも良いでしょう。好調なときほど、より良い金融機関を紹介してもらいやすいです。

事業が停滞し、返済が厳しい

事業が思うように伸びず、返済が厳しくなっている場合は、正直なところ借り換えのハードルは高くなります。

元本の返済が進んでいなかったり、業績が悪化していたりすると、金融機関は貸し倒れリスクを懸念し融資に慎重になります。

仮に借りられたとしても、金利が高くなりやすく、借り換えによるメリットが小さいです。

それでも、借り換えを検討すること自体は無駄ではありません。

特に高金利で借りている場合は、条件を見直すことで金利を引き下げられる可能性があります。一度、専門家や金融機関に相談してみる価値はあります。

担当者がつかないオンライン完結型のサービスは、審査が機械的で対応もドライになりがちです。

一方で、対面型の融資サービスであれば、事業状況を丁寧に説明することで、柔軟な対応をしてもらえます。

たとえば、MRFは中小企業や個人事業主の方に寄り添ってもらえます。

返済総額を減らせるビジネスローンの借り換え方法

借り換えをするなら、できるだけ返済総額を減らすことを意識しましょう。

そのためには、いくつかのポイントを押さえたうえで、できる限り有利な条件で契約することが大切です。

融資は「借りる側の知識」で条件が変わることもあります。事前にしっかり情報収集を行い、細かい点まで確認しながら進めていきましょう。

担保を提供する

借り換えを有利に進めるには、担保を提供しましょう。

保証人よりも、特に一般的なのは不動産担保です。証券担保という方法もありますが、実務上は不動産が多く利用されています。

自分名義の不動産がなくても、家族名義の不動産を担保に提供できれば、金利を大きく引き下げられる可能性があります。

実際に、無担保よりも大幅に条件が改善されるケースも多いです。

親族に直接お金を借りるよりも、不動産を担保として協力してもらう方が心理的なハードルは低いでしょう。

住宅ローンが残っている不動産でも、条件次第で利用できることがありますので、一度確認してみましょう。

たとえば、セゾンファンデックスでは、不動産担保ローンとして年率3.15%~9.9%、融資金額は500万円~5億円といった条件で利用できます。

詳細な経営状況を把握する

借り換えを検討する前に、まずは自社の経営状況を正確に把握しましょう。

毎月どのくらいの利益が出ているのか、現在の返済額や利息を含めて無理のない水準なのかを確認します。返済が資金繰りを圧迫していないか、冷静に見直しましょう。

あわせて、不要な支出がないかもチェックしましょう。

人件費やオフィス賃料、各種固定費など、本当に必要なコストかどうかを見直し、削減できる部分があれば改善していきます。

固定費を抑えられれば、利益を多く出すことができます。

こうした整理ができていると、融資審査の際に提出する経営計画も説得力のある内容になります。

金融機関から前向きに評価され、より良い条件で融資を受けられる可能性も高まります。

また、経営状況を詳細に把握することで、「本当に借り換えが必要なのか」という判断もしやすくなります。まずは現状分析から始めましょう。

オンライン完結よりも対面式の融資を選ぶ

オンライン完結型の融資サービスは手軽で便利ですが、借入額が大きい場合や返済が厳しい状況にある場合は、対面式の融資の方がよいでしょう。

対面であれば、事業の詳しい状況や今後の見通しを丁寧に説明できます。

担当者が親身になって相談に乗ってくれるため、画一的な審査ではなく、状況に応じた柔軟な対応をしてもらえます。

必ずしも対面式の方が金利が安いとは限りませんが「お金の専門家に直接相談する」という意味では大きなメリットがあります。

条件だけで判断せず、一度じっくり相談してみるとよいでしょう。

借り換えのメリット・デメリット

ビジネスローンの借り換えには、メリットとデメリットの両方があります。

それぞれをしっかり比較し、メリットの方が大きいと判断できる場合に実行しましょう。

初めての借り換えは判断が難しく感じるかもしれません。しかし、事業を続けていく中で融資は何度も向き合うテーマです。

状況を改善するためにも、積極的に情報を調べ、最適な選択肢を検討していきましょう。

メリット

借り換えの最大のメリットは、やはり返済総額を減らせることです。

金利が下がれば、毎月の返済負担が軽くなり、資金繰りにも余裕が生まれます。

それだけでなく、金融機関との取引を一本化することで関係性を強化できるなど、事業運営においてさまざまなメリットがあります。

借り換えは単なる「金利の見直し」ではなく、将来の資金調達環境を整えるための重要な業務です。

返済総額を抑えられる

借り換えによって金利が下がれば、返済総額を減らせます。

毎月の返済額が軽くなれば、資金繰りに余裕が生まれ、事業も安定しやすくなります。これが借り換えの最大のメリットといえるでしょう。

事業の調子が良いときも、厳しいときも、返済負担は軽いに越したことはありません。

そのまま高金利で借り続けていても状況は変わりませんが、少し調べて低金利の融資に借り換えるだけで、数十万円、場合によっては100万円単位で返済総額が減ることもあります。

早めに見直すことで、長期的な負担を大きく軽減できます。

管理が楽になる

複数の金融機関から借り入れをしていると、管理が煩雑になりがちです。

返済先が複数あると、それぞれの返済日や残債務額を把握する必要があり、心理的な負担も大きくなります。

借入を一本化すれば、返済先が一つになり、管理が格段に楽になります。現在の借入残高も把握しやすくなり、資金繰りの見通しも立てやすくなります。

金融機関との信用を築きやすい

借入を一本化すると、ひとつの金融機関との取引額が大きくなります。

その融資を問題なく返済していけば、確かな返済実績として評価され、次の融資を受けやすくなります。

また、担当者との関係も深まりやすくなります。継続的な信頼関係を築きやすい点もメリットです。

将来的にメインバンクとの関係を強化したいと考えている方は、多少返済総額の差が小さくても、信用構築を目的に借り換えを選択することもあります。

デメリット

借り換えのデメリットは、主に手間がかかることと、必ずしも返済総額が減るとは限らないことです。

申請手続きや書類の準備には時間と労力がかかりますし、審査結果によっては期待していたほど条件が改善しない場合もあります。

デメリットも十分に理解したうえで、メリットとのバランスを考えながら借り換えを検討しましょう。

申請手続きや書類準備に手間がかかる

借り換えは新たに融資を申し込むことになるため、申請手続きや書類の準備に一定の時間がかかります。

決算書や登記簿謄本などの書類をそろえる必要があります。自分で対応する場合も、経理担当に依頼する場合も、手間や人件費が発生します。

それでも、これらのコストを考慮したうえで返済総額が減るのであれば、借り換えをするといいでしょう。

決算直後のタイミングであれば、最新の決算書をそのまま活用できるため、比較的スムーズに申請を進められます。

想定より返済総額が下がらない場合もある

借り換えの目的は、基本的に返済総額を減らすことです。ただし、必ずしも金利が下がるとは限りません。

仮に金利が下がったとしても、差額が数万円程度であれば、返済負担の軽減という意味では大きな効果は感じにくいでしょう。

また、実際に適用される金利は審査次第です。やみくもに申し込みをすると、手続きの手間だけが増えてしまうこともあります。

そのため、事前にある程度「金利が下がりそうだ」と見込まれる場合に借り換えを検討するのが現実的です。

条件の目安を把握したうえで、効率よく進めていきましょう。

この記事を書いた人

資金調達を専門とする行政書士事務所サブシディの代表。立教大学法学部卒。日本政策金融公庫や補助金を活用した資金繰り改善が得意。法律と金融に関する情報を発信しております。

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