日本政策金融公庫で融資を受けるには、申請をして面談を受けなければなりません。
日本政策金融公庫への融資申請を専門家に依頼する場合であっても、借入主本人が手続きの全体像を把握しておかなければなりません。
- 申し込みはインターネット申込が一般的
- 面談は代理人による対応ができない
- 申請の準備はなるべく早めに対応しておく
今回は、日本政策金融公庫の申し込みから面談までの流れを解説します。
日本政策金融公庫の申し込みから面談までの流れ
日本政策金融公庫の公式サイトや資料では、全体の流れが分かりにくい部分があります。
まずは、申し込みから面談までの一連の流れをチェックしましょう。
- 要件の確認
- 必要書類の用意
- インターネット申し込み
- 公庫の担当者との面談
- 融資の決定可否が通知される
- 指定口座に入金が行われる
それぞれ詳しく見ていきます。
要件の確認
日本政策金融公庫の融資申し込みに際して最初に行うべきなのが要件の確認です。
日本政策金融公庫の融資制度には多くの種類があり、制度によって対象者や金利などの条件が全く異なります。
一見似たような内容でも難易度に大きな違いがあるケースも多いです。特定の要件を満たす人のみを対象とした有利な条件の制度も存在します。
融資制度の種類は多く存在しますが、申し込めるのは要件を満たしている制度のみです。よさげな融資制度を見つけて申し込みをしたものの、要件を満たしていなければ審査に進むことすらできません。やみくもに融資に申し込むのは非効率といえます。
良いと思った融資制度を見つけたら、応募の前にまずは要件を満たしているかを確認しましょう。先に要件を満たしている融資制度の絞り込みを行い、それから申し込む制度を選ぶ方法もおすすめです。
必要書類の用意
申し込む融資制度の種類が決まったら、必要書類の用意を進めましょう。申し込みの際に必要書類もあわせて提出します。
今回は個人事業主向け・小規模企業向け融資制度の多くで共通する必要書類を紹介します。制度によっては別の書類が必要になるケースがあるため、必ず融資制度ごとの案内をご確認ください。
直近二期分の確定申告書(確定申告をしている場合)
- 直近二期分の確定申告書、決算書(勘定科目内訳明細書を含む)
- 最近の試算表(決算から6ヵ月経過している、もしくは事業を開始したばかりで最初の決算を迎えていない場合)
見積書
- 創業計画書(新たに事業を始める、もしくは事業を開始したばかりの場合)
- 企業概要書(創業計画書を提出する場合は不要)
- 法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
- 運転免許証両面またはパスポートの顔写真および現住所の記載があるページ
- 許認可証(許認可が必要な事業を営んでいる場合)
インターネット申し込み
日本政策金融公庫の融資はインターネット申し込みが可能です。インターネット申し込みは24時間365日受け付けています。
インターネット申し込みの大まかな流れは以下の通りです。
- 日本政策金融公庫のホームページからメールアドレスを登録
- 登録したメールアドレス宛に届くメールに記載されたURLにアクセスし、申込フォームに必要事項を入力
- 必要書類を添付する
- 画面の案内に沿って申し込みを完了させる。登録したメールアドレス宛に受付完了メールが届く
- 後日公庫の担当者から面談等の案内を受ける
なおインターネット申し込みだけでなく、事前に予約した上で支店に訪問し、窓口で申し込む方法もあります。窓口申し込みの場合は借入申込書の用意も必要です。
支店での申し込みは、わからない点をその場で公庫の担当者に確認できるメリットがあります。ただし、インターネット申し込みの操作ガイドの動画が丁寧で詳しいため、基本的にわかりにくい箇所はないでしょう。
公庫の担当者との面談
インターネット申し込みの後に公庫の担当者から折り返しの連絡があり、面談の日程調整が行われます。面談で質問される内容として以下が挙げられます。
- 資金の使い道
- 事業や営業の状況(計画)
- 財務状態や経営成績
面談は原則として代理人による対応が認められません。申込者本人が面談に参加し、事業について説明する必要があります。
公庫担当者との面談後に、提出した書類や面談の内容を踏まえた審査が行われます。
面談における受け答えの内容は、申込者の返済能力や融資可否を判断する上で非常に重視される要素です。面談で説明した内容によっては、融資が認められずに断られてしまう恐れがあります。審査に通過し融資を受ける可能性を高めるため、面談に向けて入念な準備をしましょう。
融資の決定可否が通知される
融資の決定可否の通知方法は電話と郵送です。メールによる通知は原則として行われません。
融資が決定した場合は、電話での通知後に郵送で契約書類が届く流れが一般的です。ただし融資担当者によっては電話での結果通知は行われず、書類の郵送のみのケースもあります。いずれにせよ、郵送による書類の送付は必ず行われます。
審査に通過し融資が決定しても、そこで終わりではありません。契約書類の必要事項を記入し返送することではじめて融資契約が成立します。
審査に落ちた場合の結果通知方法は原則として電話です。審査に落ちてしまった後に再度申し込むことも可能ですが、同じ融資制度に申し込む場合、原則として6ヵ月の期間を空ける必要があります。
指定口座に入金が行われる
融資契約の手続きが完了後、指定口座に融資額の入金が行われます。契約書類の返送が遅れるほど融資金の入金も遅くなってしまうため、書類の返送はなるべく早く行いましょう。
融資実行の後は、日本政策金融公庫から届く「返済予定表」の通りに返済を進めます。返済は原則として月賦払いであり、返済日に口座から自動で引き落とされる仕組みです。
返済口座の残高が不足していると引き落としができず、返済遅延となってしまいます。遅延損害金の支払いが発生するだけでなく、信用情報に傷がついて今後の融資に影響する恐れもあるため注意しましょう。
日本政策金融公庫の申し込みと面談前に注意しておきたいこと
必要書類は早めに用意する!書類の不備に注意
日本政策金融公庫の融資申し込みをスムーズに行うため、必要書類は早めに用意しましょう。
「必要書類の用意」で紹介したように、融資申し込みに際してさまざまな書類が必要です。中には取り寄せるのに手続きが必要な書類もあり、書類を集めるのに時間がかかることもあります。
また、書類に不備があると融資結果に影響が出る恐れや、入金までにかかる時間が長くなるケースも有り得ます。
書類関係が原因によるトラブルを避けるため、必要書類の準備を早めに行い、不備や漏れがないかしっかり確認しましょう。
面談は原則として必須!話す内容を準備しておく
日本政策金融公庫の融資申し込みにおいて面談は原則として必須です。面談での受け答えの内容は審査において重視される要素の1つであるため、話す内容を準備しておきましょう。特に、事業の内容や計画を丁寧に伝えることが大切です。面談当日は緊張してしまう恐れがあるため、事前に面談の練習やシミュレーションも実施するのが理想です。
なお、前回の融資から2ヵ月以内に追加融資を申し込む場合は面談が不要なケースもあります。
融資の申請から入金は20日前後かかる
日本政策金融公庫の融資は申請から入金までに20日前後かかります。申請から審査結果が出るのに10日、入金されるまでにさらに10日はかかるイメージです。申し込んですぐに入金できるわけではない点にご注意ください。
なお、以下のようなケースに該当する場合は20日よりもさらに時間がかかる恐れがあります。
- 連休前に申し込んだ(公庫の定休日を挟むためその分時間がかかりやすいです)
- 融資の申し込みが多い時期に申請した
- 書類の不備や漏れがあった
- 融資決定後、契約書類を返送するのが遅くなった