日本政策金融公庫の金利は高い?他の資金調達方法との比較

日本政策金融公庫の金利

事業融資を受ける上で最初の選択肢として挙げられるのが日本政策金融公庫。

日本政策金融公庫は、日本経済の成長を支えるための国の重要な期間です。他の資金調達方法と比べて金利が安いのが特徴です。

多くの事業者にとって利用しやすい事業資金といえます。

今回は、日本政策金融公庫の金利について詳しく解説します。

目次

日本政策金融公庫の金利

日本政策金融公庫の融資条件に法人と個人事業主で大きな違いはありません。

融資条件に影響するのは事業者の形態ではなく、申込者や事業の現況、今後の見通し等の要素です。

日本政策金融公庫の融資制度の特徴として、他の金融機関に比べて金利が低い点が挙げられます。設定できる返済期間が他の融資よりも長めのため、毎月の返済負担が重くなりすぎない点も特徴です。

さらに、日本政策金融公庫には「特別利率」の制度が設けられています。

特別利率とは一定の要件を満たす場合に適用される利率で、基本的な利率である「基準利率」よりも低く設定されています。

前述のように融資条件に法人と個人で大きな違いはないため、個人事業主も低い利率で利用可能です。

創業融資の金利は1.0%~3.0%

日本政策金融公庫の創業融資の金利は1.0%〜3.0%程度です。

日本政策金融公庫の基準利率は担保の有無によって異なりますが、担保有りの場合は1.2%〜3.0%となります。

無担保の場合における基準利率は2.2%〜3.4%であり、実際は2.0%前後の金利となるケースが多いようです。

また、創業融資にも特別利率が適用されるケースがあります。特に創業融資の代表的な制度である「新規開業資金」は、女性・若者・シニアの方や廃業歴等がある方向けに、より有利な条件で融資を利用できる制度を用意しています。

なお、創業融資とそれ以外の融資に利率の大きな違いはありません。

設備資金の金利は運転資金より低めの傾向

設備資金の金利は、運転資金として融資を受ける場合よりも低めに設定される傾向です。

前提として、融資の資金使途は主に以下の2種類に分けられます。

  • 設備資金
  • 運転資金

設備資金は事業に必要な不動産や機械装置、器具備品などの購入に充てるための資金です。運転資金は事業活動において継続的に発生する資金全般が該当します。

設備資金の方が金利が低めな理由は主に以下の2つです。

  • 資金使途や金額が明確
  • 収益に貢献する(事業に必要である)ことが確実

不明瞭な部分が少なく資金提供のリスクが低いため、金利も低く設定されやすいのです。

マル経融資の金利は1.35%

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)とは、以下の要件をすべて満たす事業者が利用できる融資制度です。

  • 商工会議所や商工会などによる経営指導を受けている小規模事業者(商工業者のみ)
  • 商工会や商工会議所等の長の推薦を受けた
  • 経営改善に必要な資金の調達が目的である

マル経融資に適用される金利は特別利率F、2024年10月1日時点では1.35%です。

他の融資に比べて金利が低めであり、かつ、金利に上限〜下限といった幅が設定されていない点が特徴といえます。

日本政策金融公庫の金利は安い!事業活動を行う際のポイント

日本政策金融公庫の金利は安いのが特徴です。

しかし、融資を受ける前には具体的な金利シミュレーションや金利を下げるための方法についても知っておきましょう。

  • 事前に金利シミュレーションを行う
  • 金利優遇条件の確認
  • 特別利率を確認!担保を設定する
  • 据置期間の活用

事業活動を行う際のポイントを見ていきましょう。

事前に金利シミュレーションを行う

融資を申し込む際は事前の金利シミュレーションが必須です。日本政策金融公庫の金利は低めとはいえ、無理なく返済を続けるためには、発生する利息について考慮した上で返済計画を立てる必要があります。

金利条件のみを変えた場合に利息額がどのように変わるか、以下の例を用いてシミュレーションを行いました。

  • 借入金額:300万円
  • 返済期間:5年0ヵ月、据置期間なし
金利年2.2%の場合金利年2.9%の場合
返済総額3,167,750円3,221,120円
利息総額167,750円221,120円

返済総額・利息総額は53,370円の差があります。金利が少し違うだけで利息額および返済総額が大きく変わるといえるでしょう。

適用される金利がどうなるかは融資が決まるまでわかりません。そのため事前に適用され得る金利の上限・下限の両方でシミュレーションを行い、発生する利息について具体的なイメージを持つのが良いでしょう。

金利優遇条件の確認

日本政策金融公庫の融資に申し込む前に、金利面での優遇を受けられる条件を確認しましょう。

日本政策金融公庫は金利優遇条件が多く用意されている点が特徴です。

たとえば創業期から利用できる「新規開業資金」だけでも、以下のように多くの金利優遇条件が設けられています。

  • 女性、35歳未満または55歳以上
  • 創業塾や創業セミナーなどを受けて創業する
  • 中小会計を適用して創業する
  • Uターン等により創業する
  • 技術・ノウハウ等に新規性がある

金利優遇を受けられる融資を選ぶため・なるべく正確なシミュレーションを行うためには、金利優遇条件についての確認が必要です。

ただし、日本政策金融公庫には多くの融資制度が存在するため、制度を細かく把握するのは困難です。資金調達や融資支援に強みを持つ専門家に相談するのが良いでしょう。

特別利率を確認!担保を設定する

日本政策金融公庫は基準となる金利自体が低めですが、より低い金利の適用を受けるためには以下の2点を押さえることが大切です。

  • 特別利率の有無や適用要件を確認する
  • 担保を設定する

特別利率とは一定の要件を満たした場合に適用される、通常よりも低い金利です。

特別利率が適用される要件は制度によって異なるため、まずは利用したい制度に特別利率があるか確認しましょう。

利用する制度を決めてから特別利率を確認するのではなく、特別利率の適用要件を満たしている制度を選んで申し込むのも1つの手段です。

また、日本政策金融公庫の融資は担保を設定した方が低い金利を適用されます。無担保で利用できる融資であっても、返済負担を最小限にするためには担保を用意するのが理想です。

据置期間の活用

融資を利用しつつ事業活動を上手く行うため、据置期間の活用を検討するのも良いでしょう。

据置期間とは元金の返済が発生せず、利息のみの支払いを行う期間のことです。原則として、融資が実行されてから最初の数ヵ月〜数年を据置期間に設定できます。

創業直後や新規事業の開始前後は収入が安定しにくいです。収入が不安定な時期に融資の返済として月数万の支払いをするのは負担になってしまいます。

据置期間中に発生するのは利息の支払いのみです。そのため返済が負担になり過ぎる恐れや、返済が資金繰りに影響を与える恐れを最小限に抑えられます。

資金繰りや収入に対する不安が大きい場合は、据置期間を設定して返済に余裕を持たせるのが安心です。

他の資金調達方法における金利と手数料比較

資金調達方法金利・手数料
銀行融資1.0%~3.0%
ビジネスローン1.0%~14.0%
ファクタリング10%~30%

ファクタリングは入金までの時間が早く、審査の難易度が低い点が特徴です。ただし金利・手数料は10%〜30%と非常に高く設定されています。

ビジネスローンも審査の難易度が低く比較的利用しやすい方法です。しかし金利の上限が14%と高く、返済負担が重くなる恐れがあります。

銀行融資の金利自体は日本政策金融公庫より少し高い程度です。ただし、返済期間が短い・高額融資が前提等の理由から利用しにくいケースがあります。

数ある資金調達方法の中でも、日本政策金融公庫は最も金利が低く設定されているとわかります。

また返済期間が長く、特別利率の制度も設けられているため、返済負担を抑えやすいです。したがって、日本政策金融公庫の融資による資金調達方法が最も利用しやすいでしょう。

この記事を書いた人

資金調達を専門とする行政書士事務所サブシディの代表。立教大学法学部卒。日本政策金融公庫や補助金を活用した資金繰り改善が得意。法律と金融に関する情報を発信しております。

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